La Finestra nuova Vol.13
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10La Finestra nuova Vol.13収納収納廊下廊下子ども室子ども室寝室寝室2F2F屋根ライン屋根ライン浴室浴室浴室インナーテラスインナーテラスインナーテラス和室和室和室玄関玄関ダイニングダイニングダイニングキッチンキッチンリビングリビングリビング1F1FNN 冬には1m以上の雪が積もり、豪雪地帯に指定されている福島市北西部。ここに建つ三角柱を横にしたような形の住宅。グレーのタイル張りの外観から中に入ると一変、無数の木の柱が立ち並び、光があふれるギャラリーのような空間が広がります。「予算を守りつつ木をふんだんに使った家にしたい」という施主の希望に応えるべく、SPF材を組んでつくられた本物件。設計・施工を担当したLife style 工房の安齋好太郎さんは、豪雪地域の伝統的な住宅様式である合掌造りにヒントを得て、現代の建材であるSPFを活用した他にはない住宅をつくり上げました。 SPFとはスプルース(米トウヒ)、パイン(マツ類)、ファー(モミ類)など常緑針葉樹の総称で、建築材であるツーバイ(2×)材として広く流通しています。規格寸法のため汎用性が高く、資材をまとめ買いすることでコストも削減可能。この長所を生かして、構造をはじめ壁や天井などの仕上げまでほぼ同じ材で構成された、木が連なる美しい住まいを実現できたのです。 まずSPFを左右の屋根から交互に頂点に向かって組み、三角形の櫓のベースを製作。そこに2階空間を設けるため同材を水平方向に組んで梁とし、その上にラワン合板を張って2階の床としました。木を編むように組むことで建物の強度も保たれています。間仕切り壁はSPFの厚みと同じ38㎜の隙間ができるため間を光や風が通り抜け、柱の影がまるで木漏れ日のようです。 どの箇所も同じSPFを使うにあたり、表情に違いをつけるよう意識したそう。壁は真っ直ぐな平面に組む箇所と、ずらしながら配置することで立体的な曲面を描く箇所を設けています。この曲面の壁は、LDK、和室、水回り、インナーテラスからなる1階のワンルーム空間を緩やかに区切る役目も果たしています。壁や天井は隙間を空けて組む一方、1階の床や収納類は隙間なく材を並べ、ここでも表情に違いが生まれています。 木は長い年月をかけて住み手の色に染まり姿を変えながら、持続可能な素材であり続けることが魅力だと話す安齋さん。光と風が通り抜けるこの家が50年、あるいは100年経ってどのような姿に変わるのか、想像するだけで楽しくなってきます。地域に根づく合掌造りを新たな方法で実現DATA△の家設計/安齋好太郎(Life style 工房)施工/Life style 工房敷地面積/493.81㎡延床面積/1階86.95㎡ 2階56.11㎡家族構成/夫婦+子ども1人竣工年/2014年所在地/福島県福島市用途地域/都市計画地域(市街化調整区域)法22条地域構造/木造合掌造りにヒントを得た三角形の外観。外壁にはアスファルト基材とグラスファイバー製のタイル素材を使用し、内部とのギャップも楽しめます。建物手前にある梅の木が室内からよく見えるよう、窓の位置にも配慮。

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