La Finestra nuova Vol.13
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4La Finestra nuova Vol.13 設計を担当したのはAOYAGI DESIGNの青柳創さんと綾夏さん。施主の「高い天井と吹き抜けがほしい」というリクエストに対し、大きな面をつくることが可能なCLTを使用した1・2階吹き抜けの構造を考えついたといいます。 その結果生まれた2階小屋裏の大空間。約7mの天高で余計な構造物を必要としないクールな空間に、現しにした木の風合いが温かみと落ち着きを与えています。古民家をモチーフに心地のよい薄暗さを持たせ、家族のプライベートな空間としました。一方、吹き抜けを介してつながる1階の南側には大きな窓を設け、自然光が差し込む明るい空間が広がります。対照的な雰囲気の2フロアは完全には区切られていません。そのため2階の大屋根が1階に影を落としたり、1階からの採光が2階をぼんやり照らしたりと影響し合い、豊かな表情が生まれています。 新しい建材であるCLTパネルの採用は、施工にかかわるすべてのスタッフが初の試み。材料の加工前から関係者間で綿密な打ち合わせが行なわれました。しかし実際に動き出してみると、運び込みや反りを修正しながらのパネル同士の接続など苦労した点もあったそう。それでもCLTの出現により、線的な使われ方だった木材で面的な使い方ができるようになったり、本物件のように大空間をつくり出せるようになったのは大きな進歩です。青柳さんも次のように期待を寄せています。「木材は今後も多くの材料や工法が生まれることで、見たこともないような空間を生む可能性を秘めていると思います」古民家の暗がりを新しい建材で表現する1 2階北西側のスペース。チェアのサイズと比べても圧倒的な天井の高さ(約7m)が見て取れます。将来子ども部屋としての使用を想定し、収納と一体化した木製引き戸を設置。 2 1階南側の大窓が採光の役割を果たします。 3 施工の様子。サイズ約8×2.3m、重量約800kgのCLTパネルを運び込み、組み立てて屋根や床を形成。大工にとっても初の試みで、取り扱いに細心の注意を払いました。 DATA入間の家設計/青柳創、青柳綾夏(AOYAGI DESIGN)施工/ダブルボックス敷地面積/183.80㎡延床面積/1階57.62㎡ 2階65.42㎡家族構成/夫婦+子ども1人竣工年/2017年所在地/埼玉県入間市用途地域/ 第一種低層住居専用地域構造/木造在来231バルコニーバルコニー小屋裏小屋裏2F2F寝室寝室浴室浴室浴室玄関玄関キッチンキッチンリビング・ダイニングリビング・ダイニングリビング・ダイニング1F1FNN

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