La Finestra nuova Vol.15
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 東京都内、築49年の風格あるヴィンテージマンションに暮らす山田さん一家。家の中にはいわゆるマンション的な空間とは異なるインテリアが広がります。白い壁と、そこに映える墨のアート。特に目を引くのが、風合い豊かな和の古家具や古道具、器の数々です。長年各地の古道具店などを回り、コツコツと集めてきたものだそう。「日本の古い家具や道具の雰囲気が大好き。この家に越してくる際はそれらに似合う空間をつくろうと思いました。コテコテの“和の家”にはしたくなくて、マンションをリノベーションすることにしたんです」と山田さんは言います。デザイン会社のブルースタジオに依頼し家全体をリノベーション。存在感のある家具や道具を引き立たせるため、内装は素材の風合いを生かしつつシンプルに。白壁と無垢材の床に自ら調達したアンティークの建具を取り付け、梁などの構造に洋の趣を残したまま和の空気漂う空間に変えました。 家の中心となるのがレトロモダンなオープンキッチンとダイニング。キッチンは古家具や建具に合わせて造作したものです。どこか昭和の日本的な懐かしさがありながら、ステンレスの素材使いで洋の雰囲気も感じられます。「家具も道具も一目惚れでパッと購入することが多い」そうですが、「木や鉄などの自然素材」、「年を経た古くあたたかみのあるもの」など選ぶポイントが一貫しているため、出自が異なるものでもすべてが調和しています。気の合う友人たちを迎えて、テーブルでゆっくり食事やお茶を楽しむのが幸せだと語る山田さん。和室もない、床座でもない、それでもこの空間は和のくつろいだ雰囲気に満ちています。今気になるのは、和モダンスタイルからさらに進化した新しい和洋ミックスなインテリア。ヴィンテージや自然素材を上手に活用した居心地の良い和×洋の住まいを訪ねました。心地よさをかなえる和×洋なインテリア撮影:小林久井(case1) 米谷 享(case2)ところどころに飾られた印象的な墨のアートはすべて山田さん作。「和にも洋にも合う墨」をテーマにさまざまな墨の作品を制作しています。写真のモダンな墨はクリスマスツリーをイメージ。和ろうそくとの相性も抜群です。今どきの和洋ミックススタイルを拝見素材と経年の味わいが和洋をつなぐcase1山田邸2La Finestra nuova Vol.152

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