La Finestra nuova Vol.19
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9 フィンランドのブランド「マリメッコ」の店舗デザインなどで知られる小林恭さん・マナさん夫妻。3年前に東京の都心から吉祥寺に転居し、井の頭公園に隣接する土地に一戸建ての事務所兼自宅を建てました。自然とともに暮らすフィンランドのライフスタイルに影響を受けたという2人。北側に設けた大きな窓からは、四季を通して姿を変える公園の緑を存分に楽しめます。ただし冷たい外気の影響を受けやすいため、壁や天井の断熱材を通常より厚くしたり、ペアガラスを使ったりといった機能面の工夫がなされています。「住まいの機能性って、わかりやすく形があるプロダクトとは少し違って目に見えないことが多いと思うんです。例えば断熱性など快適性の向上はもちろん、掃除しやすいとか出し入れしやすいとか。目に映らない機能性の積み重ねが住みやすさにつながるのだと思います」(マナさん) じつは片付けが苦手だというマナさん。だからこそ片付けや掃除が楽になるような工夫がこの家には散りばめられています。例えば床やテーブルには傷に強く汚れにくいUVコーティングを施し、メンテナンス性を向上。ランドリールームを設けることで人の目につかないところで部屋干しができるようにする等々。 店舗デザインの仕事で培った技とアイデアを生かした収納の工夫にも注目です。なかでも象徴的なのが、リビングルームの壁一面につくられたガラスのショーケース。夫妻がコレクションしているアートピースの一部を飾りながら収納しています。一方、ケースの向かい側には扉付きの収納があり、生活感が出るものはすべて隠して収納。1階の打ち合わせスペースでも壁一面をオープン収納と扉付き収納で使い分け、「見せる」と「隠す」の収納のメリハリをつけています。このメリハリによって、たくさんの所有物を美しく見せることに成功しているのです。メリハリある収納でたくさんの物を美しく見せる黄色のパネルをスライドするとテレビが登場。「インテリアの中で家電の存在感は大きいので、使わないときは隠せるように」(マナさん)。大きなテーブルは中央で分割でき、フレキシブルに使えます。耐久性が高く汚れにも強い、UVコーティングを施した床。テーブル天板も同様の仕上げで、水の輪染みができず快適です。目立つテレビを隠すスライド式扉2塗装選びのコツはメンテナンス性3

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