La Finestra nuova Vol.20
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今あらためて見直されている、日本文化の魅力。各地で建設ラッシュを迎えている宿泊施設のなかでも特に日本の美が光る注目のホテルや宿を紹介します。インテリア好きならまず見逃せない場所ばかりです。ほっとくつろぎ、美しさに見惚れるThe Okura Tokyoジ・オークラ・トーキョー 日本モダニズム建築の傑作として知られながら、建て替えのため2015年に閉館した「ホテルオークラ東京 本館」。4年の歳月を経た今年9月、満を持して「The Okura Tokyo」として新たなスタートを切りました。 特に注目されていたのが、日本の美の粋を尽くしたオークラロビーが新しいホテルではどんな姿になるのかということ。閉館発表時は海外でも保存運動が起こったほど愛されたこの空間を、The Okura Tokyoではほぼ完全に再現することで人々の声に応えたのです。 ホテルの象徴ともいえる照明「オークラ・ランターン」や、テーブルを花芯に、椅子を花弁に見立てた「梅の花のテーブルと椅子」。窓を彩る「麻の葉文の美術組子」、人間国宝の富本憲吉がデザインした壁の「四弁花文様の装飾」など、随所に見られる日本の伝統美。さらに、木質を生かした直線的な構成や低く設定された床、障子を通して柔らかく差し込む自然光まで、当時の面影が忠実に再現されています。訪れる人々を温かく迎え入れる空間は、当時の本館を設計した谷口吉郎の息子である建築家の谷口吉生氏が設計を担当。旧ロビーをつぶさに計測・観察し、新ロビーに継承することに成功したのでした。ホテルの顔であるオークラ プレステージタワーのロビーは、静かなくつろぎに満ちた空間。構造から内装、意匠、家具、照明に至るまで、以前の姿がほぼそのまま再現されています。本特集の情報は2019年10月1日現在のものです。料金は時期により変更の可能性があります。16La Finestra nuova Vol.20

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