La Finestra Vol.23
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12懐の深さが魅力的! 温かみあふれるインテリア「日本人から見ても親しみやすいのがポルトガルの民芸品。懐かしさや温かみが感じられます」 長年現地に通い、関連著作も多数ある矢野有貴見さんが語るポルトガルのクラフト。かつて貿易の拠点として世界各国の文化を受け入れたポルトガル。国土が南北に長く地域ごとに風土が大きく異なることもあり、各地の手仕事も特色豊かです。その違いを個性として受け止めるおおらかさがあり、少しくらいいびつでもそれも個性のひとつとして受け入れる懐の深さがあります。 そんなおおらかさを象徴するものが、ぽってりと厚みがある陶器類。ポルトガルでは昔から陶器産業が盛んで地域ごとにさまざまな陶器がつくられていますが、ここで紹介したいのはステンシル(型染め)の陶器。以前は多くつくられていましたが、今はごく少数の工房が手がけるのみだそう。刷毛目や染料のにじみ加減、色の濃淡がひとつずつ違うところに味わいが感じられます。 もうひとつポルトガルのデザインを語るうえで欠かせないのが、中世にイスラム国家の支配下にあったことによるイスラム文化の影響。「アズレージョと呼ばれる装飾タイルはポルトガルの多くの建築で目にすることができますが、そのルーツはアラビアのモザイクタイル。その後独自の進化を遂げ、ポルトガルといえばタイルといわれるまでになったんです」(矢野さん) すべてを包み込み受け入れるような温かさを感じるポルトガルのクラフト。部屋に置けばこちらもおおらかな気持ちになれそうです。ポルトガル本土の西に浮かぶアソーレス諸島。「歴史的にベルギーや中国、イギリスなどの影響が大きく、そこでつくられるクラフトは本土に比べて繊細な印象を受けます」と矢野さん。各地でつくられるバスケットも同諸島のものはより優美な雰囲気。とはいえ手仕事の温かみは健在。使い込んで飴色になるのも楽しみです。(上)サン・ミゲル島のふた付きバスケット17,600円 (下)サンタ・マリア島のヤナギのかご7,700円飾っても使っても嬉しい自然素材のバスケット矢野有貴見さんポルトガルの民芸品を扱うネットショップ「ANDORINHA (アンドリーニャ)」店主。自らポルトガル各地を訪ねて集めたクラフトを紹介。ポルトガルに関する著作も多数。https://andorinha.shop教えてくれた人アズレージョ(タイル)がごく普通に使われているポルトガルの建築。住宅の外壁(左写真)も現在はホテルになっている富豪の館の内壁(右写真)もアズレージョ仕上げ。大航海時代は貿易の拠点として世界中から人やものが集まったポルトガル。さまざまな文化を受け入れて生まれたおおらかな手仕事で癒しの空間に。優しい気持ちを誘うおおらかな手仕事美しいタイルで彩られたポルトガルの街掲載商品問い合わせ先(記載したものを除く):ANDORINHA https://andorinha.shop

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